15年来、当院にメンテナンスで通われている患者Uさん。男性です。
65歳で退職し、92歳のお母様の介護をされています。介護で忙しくされている中、夜中に洗面所で気を失い転倒。ぶつかってケガをされその場で朝までうずくまっていました。この際に歯が割れたのでしょう。

上の写真は数年前のUさんの口腔内とレントゲンです。2年前にこの状態から、上の歯列をまとめて8本繋がったブリッジで治療しました。

亀裂が入り左右で分離したセラミック
上の歯列は8本繋がったブリッジだった。

「先生、前歯が揺れている気がするんです。揺れていたら治してもらいたい。ボンドでくっつけてもらっていいですか?」 そういって来院されました。

診ると前歯のブリッジが折れていました。このタイプの硬いジルコニアセラミックを扱って10年になりますが、ジルコニアのブリッジが折れたのは初めてでした。Uさんは2年前に当院で上の歯列をまとめて8本が繋がったブリッジに治し、同じく2年前に臼歯にインプラントをし終えたところだったのです。

私はとても当惑しました。Uさんとしては簡単にボンドでつけて欲しいということです。でもそれでは一時的なごまかしの治療になってしまいます。かといってきちんとやり直せば大きな出費がかかります。Uさんはまだ67歳。せめて20年は自分の歯でしっかり噛み健康に生活していただきたいという思いで私は治療をしてきました。

前歯が揺れている…?

外傷による損傷は保証の対象外ですが、長くお使い頂ける治療がしたかったため、「8本分全てやりなおすので、セラミック1本分の費用で良いので負担して貰えないですか?」と提案しました。Uさんから快諾を頂き、やり直しを行いまいした。3回で治療は終了し、元通りの歯になりました。今回セラミックブリッジが割れることで衝撃を吸収したので歯根は無傷でした。もしもセラミックが昔の裏側が金属フレームのセラミックブリッジであれば、ブリッジは折れず、歯根が折れ、抜歯になっていたかもしれません。

Uさんは、もともと昔に前歯を事故で損傷しており、その歯を騙し騙しで、何とかしのいでいました。前歯が奥歯を守る機能が弱く、つまり咬み合わせが原因で奥歯が痛くなって揺れては失われるを繰り返していました。次は前歯が壊れていく状況でした。2017年、65歳の時にお仕事の節目を迎えられ、当院で歯周病治療と被せもので上の歯列全てに介入することで、噛み合わせをお作りしました。インプラントは3本だけ利用し当時の治療は終了しています。

上の前歯は、大昔の転倒により吸収が進行してグラグラに。上の奥歯も力に耐えることが出来ずグラグラと虫歯が進行していました。

治療後の歯のデザインを治療前に考えました
インプラントを入れる前のリハビリ仮歯。治療完成時のデザインを事前にお口の中に移しています
オレンジの印の位置がインプラント予定部位

当院でインプラント治療を受けるに際して、周囲からいろんな言葉をもらったそうです。インプラントをしないほうが良いという方もいれば、した方が良いという方もいたそうです。中には1本20万円の激安インプラントをいれたという方もいたそうです。

治療後
治療後

Uさんのインプラントは1本45万円です。人工歯根とパーツ、かぶせ物を含めた費用です。20万円に比べると高いと感じたそうですが、当院を信頼し治療をされました。

インプラント治療を安全に行うには技術修得、設備、スタッフトレーニング、豊富な症例が必要になります。インプラントを必要とする方は咬み合わせがおかしくなっている方がほとんどです。治療の中で難度が最も高く予後に大きく影響を与えるのは、一人一人の咬み合わせを評価し、その方にとって最適な咬み合わせを与える技量です。また歯科技工士も非常に重要で、インプラントの知識だけでなく模型を読み咬み合わせを作る技量が最も重要です。技工では寸法精度や形や色ももちろん重要ですが、同じ価値観で咬み合わせを任せられる歯科技工士は極わずかだと感じています。このごく限られた歯科技工士に歯を作ってもらい、当院がインプラント治療を行うには相応の費用が必要となります。

装着する前のセラミック。まさか、このセラミックを2年後に作り直すことになるとは、、、、、
治療前と治療後

話が脇にそれましたが、

治療を終えてUさんは「口元がきれいに見えることはいいね」とおっしゃいました。歯が綺麗なので、掃除もしやすく、歯を大切に扱おうという意識が芽生えたそうです。時間をかけられる時には歯間ブラシや糸ようじを使い、時間がなくても以前に比べ意識して磨くようになったとおっしゃいます。今では口の中はいい状態で“花丸”だそうです。

 綺麗な見た目だけでなく、歯列全体に必要な咬み合わせが備わりました。

■リスクと副作用
インプラントは外来での手術が必要です。高齢や持病によっては出来ない場合があります。清掃の不良があると天然歯の歯周病に類似したインプラント周囲炎が起こることがあります。

セラミックは割れることがあります。通常の使用で割れた際は保証の範囲で対応します。

■治療期間
10ヶ月

■費用
インプラント1本45万円。セラミック1本15万円。自由診療です。

Aさんは、歯周病のメインテナンスのために当院に通っていました。
アゴの関節にお悩みがあるようでしたが、それについては他の病院の先生に診ていただいていて、マウスピースをお使いでした。

通院してから長く経ったあるとき、アゴのことについてお話してくださいました。
噛むところがわからず、アゴがガクガクする、肩こりもひどい。それゆえ寝るときにマウスピースを使用しており、マウスピースが欠かせないとのことでした。マウスピースをせずに寝ると、目覚めた際にアゴと肩が物凄くだるくなるそうです。

一度アゴの観察をさせていただいていいですか?と確認の上で観察してみました。
首回りや咀嚼筋を触診すると随所に痛みがありました。また、アゴを開け閉めして閉じてみると、歯の一部分が当たってから、ズレながら噛みこんでいました。

咬み合わせと顎関節は関係しています。

歯はあごの骨にくっついているので顎関節と繋がっています、噛み合わせに問題があると、顎の関節の位置や動きも正しくなくなってしまいます。

そこで、顎を良いポジションに位置づけるための道具としてマウスピースがあります。しかしながらマウスピースでは四六時中装着することはできず、食事をすることもできません。あくまで就寝時や安静時の補助具です。

「関節円板」を正常に戻した前提において、自身の歯の咬み合わせそのものが正しくなれば、アゴ関節の問題は解消されます。

そこでアゴ関節の診断を行い、咬み合わせの模型診断を行いました。
アゴ関節のトラブルで関節円板の位置異常がよくあります。Aさんには関節円板の位置の問題はなく、有害な咬み合わせのみがたくさん見受けられました。

ちなみに、関節円板の位置異常が見受けられるときは、関節円板を正しい位置に整復し、それから模型診断します。


模型診断での診断では、関節位から上下歯を閉じた時に、一部の歯だけが当たり、そこからさらにズレながら噛みこんでゆきます。しかも最終的には全ての歯で噛めていません。
咬み合わせの異常には、一分の歯しか当たらず不安定な咬み合わせや、横に歯ぎしりした際に奥歯には当たってはいけない有害な咬み合わせがあります。Aさんは奥歯が著しく有害に当たる咬み合わせであることがわかりました。

咬み合わが悪い場合、正しい咬み合わせを構築する方法は
・咬み合わせを調整する
・歯列矯正をする
・被せもので歯の形を変える
・上記の組み合わせ
の4つです。

咬み合わせの診断とシミュレーションを行いました。
Aさんの場合、模型上でわずかな調整をすれば、正しい咬み合わせが作れることがわかりました。

関節位での咬み合わせの記録
関節位でドイツの咬合器にマウントされたAさんの模型
青いところだけが上下であたっている場所
横にずらしたときにここが大きく当たってはいけない
裏側の様子、奥歯が急角度で大きく当たっていました
調整のシミュレーションで全体に当たり、有害な咬み合わせがなくなることがわかりました。

模型を使って説明の末、咬み合わせの調整は自費治療になりますが、どうなさいますか?とお聞きしたところ
即答で「やります。」とのお返事でしたので、咬み合わせを調整させていただきました。
調整は、削る量としてはごくわずかですが、アゴの位置を誘導しながら、咬合理論に則って繊細に調整します。Aさんのケースは難症例であったため1時間ほどかけて行いました。

術前は、口をカチカチ閉じても一部の歯しか当たらなので、ガクガクと濁った音しか聞こえません。治療後は全体の歯が同時に当たるので、歯からカツッ!カツッ!と高い音が響きわたるようになります。
患者さんにも音の違いを感じていただけますし、治療を終えて噛むのが楽になったそうです。
治療の当日からマウスピースの使用はやめてもらいました。

それから1ヶ月後、
肩こりもずいぶん楽になり、今ではマウスピースなしで寝ても、顎や肩のだるさがなくなりました。
カチカチしても咬む所が定まって迷いがなくなってきているそうです。

有害な咬み合わせだと、口を閉じる毎にアゴの位置がズレて、いい位置を探ります。アゴは頭に位置しアゴの位置がズレると反作用で頭位がずれるので、頭位を支えるために首や肩の筋肉が毎回緊張します。
治療前に、「咬み合わせ治療をすれば、肩や首のコリがなくなりますか?」とAさんから質問されました。
私は、「私は咬み合わせを正しい位置にし、有害な咬み合わせを取り除くだけです。ただそれを行うだけであって肩や首を治すための治療ではありません。ただし、治療をすれば2次的に肩や首のコリがなくなる方は多いです。」とお答えしました。

少し不安をお持ちであったのに、どうして治療を受けようとおもったのかお聞きしました。

手術や矯正も必要であることを以前ほかの歯科で聞いており、将来いつかしなければとは思っていたそうです。
決して安い治療ではないけれど、手術や矯正に比べると簡単であったこと、治療や学んできたことの説明が納得いくものであったからだそうです。あと治療に情熱があることがわかったので、ウソではない(笑)と思い治療をされたそうです。

治療から1か月

■治療期間と費用
・治療期間:2回の来院
・費用:検査1~5万円、治療15~20万円が顎関節症の標準的な費用です。いずれも自由診療です。

■リスクと副作用
・歯を均等に咬ませ、有害な咬合をとり除きます。
・肩や首を治すための治療ではありません。

・咬合理論に則った診断に基づかない適当な咬合調整は、顎関節に悪影響を及ぼす恐れがあります。

70代前半 女性 Bさん の症例です。

治療後。自然で若々しい口元
治療後。希望に応え、インプラントで治療した

他院で「歯は残せない。総入れ歯しかない」と言われて落ち込み、
「どうしても入れ歯は嫌」とインターネットで調べて当院にお見えになった患者さんです。

歯がぐらぐらしていて固いものも食べられないし、そもそも食べる気力も無くなってきていたそうです。必死に調べて、永井歯科のホームページを見て、「この院長は自信があるんだろうな、何か治療法があるのかな」と思って来てくださったそうです。

治療前
治療前

Bさんは同年代の間で飛び切り「健康」で「若い」で通るほど、年齢を感じさせない方です。
今もオフィスでパソコンを使って仕事をなさっているそうで、風邪もひかず、体力もあり、肌の色艶も良い。

当院ではまず、Bさんのお口の状況を詳しく調べてみました。
歯はたくさん揃っているのですが、歯周病が随所で進行しグラグラの歯が見受けられました。咬むことが出来ず、短期的にも残すことができない歯がたくさんありました。
他院の先生がインプラント出来ないと判断された理由もわからなくはありません。

しかし、Bさんの希望は「入れ歯は絶対に嫌!」ということでした。

入れ歯が合わずに痛くて、部分入れ歯を外して過ごしている友人も多いそうです。
入れ歯を外していると口を開けたら歯がないのがわかるし、かといって入れ歯を入れていたとしても、針金が入っているのが見えてわかる。人前で自分の入れ歯を外してみんなに見せた友人もいるそうで、それが不快で衝撃を受けたといいます。自分だったら恥ずかしい。
Bさんにとって取り外せる入れ歯なんて恥ずかしい。自分の入れ歯が目の前に置いてあるのを想像しただけであり得ない。そんな気持ちをお持ちでした。

治療中に使用したリハビリ用の仮の歯

そこで当院ではインプラントを含めた治療計画を立てました。
以下が1年間で行った治療内容です。

・術前の資料や検査データを集める
・診断し治療計画・治療工程・歯のデザインを考える
・歯周病治療を行い、歯周病菌を除菌
・神経の治療をする
・残せない歯を抜歯する
・インプラント手術を2回に分けて行う
・途中リハビリの仮の歯を作り変える3回
・リハビリの歯が顔と調和しているか写真を見ながら手直しする
・治療の全期間で咬み合わせのリハビリを行う

当院の治療計画を聞いた時、Bさんは1年の治療計画はとても長いと感じたそうです。しかし、Bさんご本人が自覚されているよりも治療が難しい、いわゆる難症例でしたので、1年というのはかなりの短期間なのです。

当院には優秀な院内歯科技工士と担当歯科衛生士と担当歯科医師が症例ごとにチームを組むことで、多くの難症例を1年以内に終えています。

初めのデザインから、仮歯、セラミックの完成まで院内で製作
完成したヨーロッパのセラミック

通院頻度ですが、Bさんには月に1、2回、2時間ほど時間を作ってもらい来院して頂きました。治療途中は常に全ての歯で食事できるような状態をキープして過ごしていただいています。
Bさんは毎回定刻に通院して下さいました。
計画治療には時間の約束が守れる必要があります。

部分的に重症の歯周病の部位がある方の場合の原因はおおむね2つです。
1. 咬み合わせがバランスを欠いていること
2. 悪玉の歯周病菌が検出されること

治療前のレントゲン 随所で歯を支えている骨が失われていました

咬み合わせに対しては、咬合器で審査しアゴの関節に対しても調和のとれた、全体でスムーズに動く正しい咬み合わせを与え、リハビリすることで解決して行きます。
今回のようなケースで部分的な対応だけに固執すると、次々に他の部位にしわ寄せが寄って悪循環から抜け出せなくなります。必ず歯列全体で咬み合わせを考えてゆくことが重要になります。

悪玉の歯周病菌に対しては、歯周病菌の検査をし、悪玉の歯周病菌がたくさん検出されたならば、正しい歯周病治療を行い、歯周病菌を除菌することで解決して行きます。
この両者をクリアしながら治療を終えました。

徹底した歯周病治療で、歯周病菌は激減

結果として治療は1年で終了しました。

何でもしっかりと咬め、綺麗だと満足されています。ただ、費用が少し高かったのが難点とチクリとおっしゃいます。

「高いと感じたのになぜ当院で治療したの?」とお聞きしたところ、症例写真を使った説明の内容と、先生と話をした感じが良かったので、任せられると判断されたようです。

Bさんは歯が抜けて、老けて見えるのは嫌だったとのことです。
「入れ歯で認知症になるのもどうしても嫌だった。自分の歯を長く残したい、しっかり食べたい、見た目も恥ずかしいのは嫌。もう何十年も生きないから納得いくものが欲しかったんです」とおっしゃっていました。

治療前、治療後
治療前、治療後

今では普通に口を開けて笑える喜びを実感されています。
何より心配せずに食事ができることが嬉しい。食べれることは本当にありがたい!と感謝の言葉をいただきました。
「もっと早く治療しておけば良かったと後悔した。入れ歯の友人が柔らかいメニューを選んでいるときに、自分だけ何でも食べられる優越感もあるんです」と笑っておっしゃっていました。

治療前、治療後

■治療期間と費用
・治療期間:1年
・費用:今回のケースではインプラント1本あたり45万円、天然の歯の被せたところ1本あたり10~18万円(税別)

■リスクと副作用
・インプラントも日常の清掃やメンテナンスを怠ると、天然歯の歯周炎のようにインプラント周囲炎が起こります。
全身疾患や状況によってインプラント治療はできない場合があります。
・セラミックは割れることがあります。セラミックが万一、割れた際は保障の範囲で対応します。生きている歯の場合、治療後にしみたり痛むことが起こります。その場合は神経治療等で適切に対応致します。

治療後の口元
治療後のお口の中

Kさんは、「噛めない、食べられない」という状態で永井歯科に来られました。
診察すると歯周病と咬み合わせに問題があり、歯列の奥歯が崩壊している状態でした。
ずっと歯医者さんに行きたかったそうですが、仕事が忙しく、休みの日は仕事で体が疲れており歯医者さんに行けない。そんな毎日を過ごされていたそうです。
もともと管理職をされており、退職後もこれまでのキャリアを生かしたお仕事を周囲から依頼され、中々落ち着いて歯科治療に通う時間を作れなかったそうです。

治療前
治療前 歯列に不正があり、それプラス歯周病菌が悪影響を及ぼし、歯がぐらぐらになったり抜けてきていました。
治療前のレントゲン

そのため、歯が痛いときだけ近所の歯医者さんに通い治療してもらっていました。歯もこんな状態で、食べ物も食べられない、美味しくない。治療に専念したかった。仕事を辞めて、時間を作り、インプラントを含めてまとまった治療をするのにどこの歯科にしようか考えていたそうです。
当院には退職前に、治療の相談や時期の相談に何度かお見えになっていました。
その後、お仕事を完全に退職されて永井歯科で治療を開始することになりました。

当院は健康保険外でしっかりとした治療をしたい方が集まる歯科医院です。

健康保険の治療は1回15分から30分程度となりますが、健康保険以外の計画治療には1回あたり通常1時間から3時間ほどの時間のお約束をして治療を行います。
工程を決めて互いに先のスケジュールまで押さえながら治療を進めます。
そのような進め方をしますので、お仕事が多忙な方にも、通いやすいと言っていただいています。

さて、Kさんの治療前のお食事内容ですが、食べられるものが大幅に限られていました。
たとえばリンゴ、イカなどは食べるのを避けていたそうです。
みかんとバナナは召し上がっていたそうですが、みかんは房の部分は咬み切れず、丸呑みすることになってしまうので、必ず剥いてから食べていました。
また、歯で噛めないときは上の歯茎の裏と舌で押しつぶして食べることもあったそうで、かなり不自由されている状況でした。

お口の中を見ますと、歯周病が随所に進行しており、残すことが出来ない歯がたくさんありました。また歯列も不正で、安定した咬み合わせを与えるのにとても苦慮しました。
こういった状況の場合、長期で残せない歯の抜歯、残せる歯の歯周病治療、そして全体の咬み合わせの改善が必要になります。

治療計画をいくつか立て、Kさんと選択肢をいろいろと検討しました。
最終的に、上は総インプラント 下は前歯を残してブリッジ、下の奥歯はインプラントということで治療内容がまとまりました。
(ちなみに、その他の選択肢としては、前歯を残してドイツ式の外せるブリッジを作る方法もありました。)

永井歯科では、
「治療の途中をどのよう過ごしてもらうのか?」
ということに神経をとても使います。

今回の治療でも、奥歯のしっかりとしたリハビリ仮歯を作りました。治療を初めて3ヶ月目には奥歯が入り、これまで避けていたリンゴも皮付きのまま食べられるようになったようです。

治療後のお口の中 上の歯は総入れ歯風ではなくブリッジ風で,異物感が随分軽減されます。
治療後のレントゲン

ところで、歯を治療して噛めるようになると、一般的に太る方が多いです。
なぜかというと、歯が不自由な時は、たべられるものが限られてくるので、簡単にエネルギーを摂取できる炭水化物が多くなりがちです。たとえば麺類やお茶漬けなどです。
噛めるようになってもこうした食生活を続けていると、すぐに噛み砕けるぶん、つい多く食べてしまい太ってしまうのです。
そこで治療後の患者さんには、意図的に蛋白質をとるようにお願いしています。
Kさんはその点はとても優秀で、治療中も治療後も太ることはありませんでした。
とくにお肉や魚などの蛋白質の摂取が適切に行われているからです。
Kさんは、現在ジムに通われていて、トレーナーさんに日々の食事内容を伝えると褒めらるそうです。

治療前 と 治療後
治療前 と 治療後
治療を終えて。

「治療前は、しっかり食べられず、美味しさも感じられなかった」とKさんは言います。
それが今では、口の中が痛くない、みかんも房のまま食べても線維を噛み切れる、お肉もしっかり咀嚼して食べられる、今はワイルドに食べてます(笑)、天国です!(笑)ととても喜んでいる様子でした。

■治療期間と費用
・治療期間 1年半

・治療費

上:総インプラントは手術と仮歯までで198万円(税込)~。最終の歯は77万円(税込)~。ご予算に合わせてご相談ください。
下:インプラントは手術から被せものまで全て含めて1本49.5万円(税込)。セラミックの被せものは1本11万円~(税込)ご相談ください。(自由診療)

■リスクと副作用
インプラントも日常の清掃やメインテナンスを怠ると、天然歯の歯周炎のようにインプラント周囲炎が起こります。神経の治療をしている歯は治療後に歯の根が折れたり抜けることがあります。

お口全体を徹底的にきれいにした女性のMさんです。

当院では、咬み合わせを考えた総合的な治療を提唱しています。
総合治療の期間は通常1年程度ですが、Mさんはお仕事が忙しかったため、たまの土曜日を活用してお互いのスケジュールを確保し、足掛け3年で治療を完了させました。

お口全体を3年かけて仕上げた
高い透明感と柔らかさを表現するために、ヨーロッパのセラミックを使用しました
天然歯とセラミックがきれいに調和

もともと10年来、永井歯科に通ってくださっている患者さんです。
奥歯の虫歯などその都度対応していましたが、問題点が続発してきたため、2017年にお口全体の治療をご提案しました。

矢印は歯に大きな問題のある箇所

当初の相談では、前歯は触らず、奥歯を中心に治療する予定でした。
しかし、前歯が差し歯で小さめだったこともあり、全体のバランスと、前歯が奥歯を守る役割を担えていなかったため、全体的に治療することをご提案し、セラミックで歯の形態と機能の回復をすることにしました。Mさんとしても全体のバランスは気にはなっていました。でも難しそうだし治るのかな?と諦めもあったようです。前歯の位置は機能面でも見た目にも大きな差が出るところです。とくに0.1ミリ単位でこだわって調整しました。

ドイツ製の咬合器上に装着されたリハビリ用の仮歯です

また、下アゴの前歯は少し前に出ていたので、咬み合わせを整えるため歯が内側に入るよう被せではなく歯の表面を一層だけ削り、左下の犬歯1本だけは被せものにしました。

院内の加工機で製作されています

Mさんは形の好みもはっりきしていたのでいろいろと新しい仮歯を入れ替え、試しては装着感と見た目をテストしました。途中からMさんの好みが一部分にこだわるあまり全体のバランスが崩れそうになってきたので、最終的には全てを私と当院の技工士に任せていただいて、3人共が納得できる形を作りあげました。とはいえMさんの意見は非常に参考になりました。木を見すぎると森を見失うし、かといって森ばかり見て木々のバランスが崩れてもいけないし、バランスをとるのはとても難しいです。

個々の歯と全体のバランスを考えながら
院内技工士が歯の形を手直し

咬み合わせを調整する際、一時に咬み合わせに違和感の出ることがあります。慣れ親しんだ咬み合わせのほうが、正しい咬み合わせよりも、その方にとって馴染みがあるからです。Mさんも、咬み合わせを調整した直後は若干、違和感があったそうですが、食べられないわけではないし、すぐに慣れたということでした。

最適な咬み合わせを作るために、健康な歯を一部削る場面があります。
後々ほかの歯に悪影響が出る可能性があるなら、受け入れます。ということで歯の一部を削り歯の形を修正することをMさんには了承していただきました。

治療は3年かかりましたが、Mさんとしては長いという意識はなかったそうです。
治療中もつねに噛めるように、たとえばインプラントを入れた直後は荷重をかけられないためインプラント以外で噛めるブリッジを作るなど、その都度、工夫しています。2ヶ月ほど左下の奥歯がない時期はありましたが、それ以外はつねに仮歯で噛める状態にしていました。
仮歯もしっかりお作りしたので、まだ仮歯の段階で周りの方から「きれいになったね」「治療終わったの?」と言われたこともあったそうです。

治療中も常に咬める状態を確保するために、インプラントは2回に分けて手術しています。不安はなかったそうで淡々と治療を受けていただきました。

全体のバランスと機能が整いました

治療が終わり、現在はメンテナンスに通っていただいています。
もともと噛めない、痛いといった機能面での悩みはなかったため、とくに嬉しいのは見た目がきれいになったことだそうです。

笑顔は口元で変わる。周りからも「きれいになった」と言われるそうです。
調和のとれた咬み合わせとなり、下アゴの正中の位置もよくなってきました

歯とアゴ関節が悪くなる原因の中で見逃されがちなのは、有害な咬み合わせです。
今回の治療では、お口全体とアゴの動きの調和を考えて、咬み合わを構築いたしました。これから長く快適にお使いいただればと思います。

■治療期間と費用
・期間 3年
・治療費:インプラント1本あたり45万円 セラミック1本あたり10~18万円(税別)
 
■リスクと副作用
インプラントも日常の清掃やメインテナンスを怠ると、天然歯の歯周炎のようにインプラント周囲炎が起こります。神経の治療をしている歯は治療後に歯の根が折れたり抜けることがあります。

1年かけて総合的な治療を行った治療当時40代、現在50代の男性の症例です。
2015年に総合治療を終え、現在は定期点検に年に3度ほど通院されています。

いまは痛みや苦痛もなくなり、結果としてこの方にとって100点満点の治療ができたと、患者さんも私たちも実感できています。

 

しかしながら総合治療を行うまでは長い道のりがありました。

2008年から2015年までは、痛んだ時だけ、歯がなくなった時だけ、その都度その部分だけの治療を求めて永井歯科に来院されました。

現在では、永井歯科は総合的な咬み合わせ治療を行っています。ですので、こういったその場限りの場当たり的な治療を求めて来院される方はいらっしゃいません。

その場しのぎの治療は時間の浪費

2008年のレントゲンと2015年のレントゲンと口腔内写真です。

2008年
2015年
2015年

たしかに7年間で残せない歯は抜かれ、被せ物や入れ歯が入りました。しかしながら7年間の断続的な治療の末に、咬めている歯の本数はほとんど変わりません。右下にも健康保険の入れ歯もつくりましたが、装着感も悪く結局使っていませんでした。

当時は下の歯が上の歯の裏側を突き上げて、身体的に痛い思いを日々していたそうです。
また片方しか嚙めないのでしっかり噛めず、柔らかいものを選んで食べていました。いわば丸呑みです。

いよいよ、その場しのぎの治療への打つ手は無くなり、これまでと同じ治療を続けることは困難になりました。

そこで当院から以下のご提案をお伝えしました。

・健康保険では、総義歯以外で咬み合わせのための総合治療はできないこと。
・しっかりと噛むためには保険の部分入れ歯では対応できないこと。
・治療には計画的な通院が必要になること。
・費用は安いに越したことはないが、インプラントを含めある程度の出費が必要なこと。
・相談に先立ち5万円の費用をお支払い頂き、最終形態のデザインを作り、方針を決めること。

この5点を前提条件とした上で、数回の方針と総額の治療費用のご相談に移りました。

事前に立てる最終形態のデザイン

相談の上では予算的な制約もありましたし、入れ歯はイヤで被せもので対応してほしいというリクエストもありました。
これらは現実的には非常に難しいリクエストでした。
長持ちしなさそうな歯もたまたま何とか残りましたが、近い将来のリスクは残ります。
歯を残すことは一見いいことのようですが、弱い歯を残すことで、短期間でダメになる歯が生じるなど、総合治療をするときにはマイナスになる面もあります。
その際の費用と時間の出費は患者さまが負担しないといけないことを同意して頂きました。

インプラントは3本使用し、あとは全て被せもので治療は終えています。

治療後3年。良好に経過しています。

仕事で忙しい方でしたが、仕事の合間や土曜日を利用して時間調整をし、1回に2時間ほどの時間を約束しました。月に1ないし2回ほどの通院でしたが、1年の間ずっと定刻通りに通院して頂けました。計画治療には時間の約束を出来ることが欠かせません。

治療後から3年以上経過しましたが、その後大きなトラブルもなく良好に経過しています。

治療を終えて、いまでは食べられるものを選ぶ必要はありません。お肉でも何でも食べられています。入れ歯や口の中の煩わしさからも解放されました。
何でも食べれられる。当たり前のことのようですが、以前は歯の不具合を騙し騙しでしのぐことが習慣になっていたそうです。それがなくなり、「何でも普通に気にせず食べられるのが有難い」と実感されています。
咀嚼力判定のためにグミを噛んでいただいていますが、治療後は10段階で8まで噛める状態に回復しています。

 

歯は、前歯から奥歯までそれぞれに役割があります。
「1本くらいいいであろう」ではなく、1本1本に大切な役割を与えなくてはなりません。そうすることで、歯列全体が保たれ長持ちします。

■治療期間と費用
・治療期間:約1年
・治療費用 インプラント1本45万円~  セラミック1本10~18万円
 
■リスクと副作用
インプラントも日常の清掃やメインテナンスを怠ると、天然歯の歯周炎のようにインプラント周囲炎が起こります。インプラント治療は外科処置です。一般的な外科処置の偶発症が起こる可能性があります。神経の治療をした状態の悪い歯は治療後に歯が抜ける、歯の根が折れることがあります。

 

40代男性の症例です。
来院時、入れ歯をお持ちでしたが、全く使えずにお過ごしでした。
食べたいものが食べられない。咬むことができないので食事に時間がかかる。家族と違うメニューを食べる。人と一緒に食事を楽しむことが出来ない。
また、お仕事では初対面の方と会う機会も多いそうですが、笑うのにはなかなか抵抗がある。
このような不満をお持ちでした。

来院時

当院に来ていただいたからには、なんとか食べれるようになってほしい、笑えるようになって欲しいと、私が思うだけでなく当院のスタッフからも声が上がっていました。
入れ歯そのものに対しての不満な点をいろいろとお伺いしました。
健康保険の入れ歯で満足に食事が出来ないとのことでしたので、治療方法としてはドイツ式入れ歯かインプラントかの2択になります。
まだ40代と若くて体力もあり、残りの人生をまだまだ長く楽しんで頂くための解決策として、今回は手術後すぐにインプラントを使ったブリッジの歯が入る方法を選択しました。

手術後に歯が入った時、ご家族は歯が入ったことに衝撃を受けられたそうです。
別人のような代り映えに、喜びから思わず「誰やー(笑)」と言われたということでした。

治療中に使っていたリハビリ用のブリッジ(仮歯)
初めの歯のデザインから完成まで 外注ではなく院内で製作

治療は全てが円滑に進んだわけではありません。とくに物凄い力で食いしばることに悩まされました。初めからわかっていれば良かったのですが、だからこそご自身の歯が失われてきたのだと改めてわかりました。
食いしばりのために、入れたインプラントが4本、骨にくっつきませんでした。そこですぐにその4本を抜いて改めて6本を入れ直し、咬む筋力を下げる注射を行い、リカバーしています。

治療前と治療後(右はセラミックの本歯)
治療前と治療後
ジルコニアセラミックで出来た歯
6本のインプラントで全ての歯を支える総インプラント

今回の治療では、下の残っている歯は8本全て抜く計画にしました。
下の歯が通常より前に生えていると、咬み合わせの関係で、奥歯と上の前歯は壊れてしまう傾向があります。この方はまさにそれに該当していました。であるからこそ40代と若くして、たくさんの歯が短期間に失われてきているのです。

治療では虫歯でもなんでもない歯を抜く提案をする局面があります。例えば今回のように、力(咬み合わせ)が原因であるとわかった時がそれです。
今後インプラントを長期間維持する理想の咬み合わせと、歯を残しておいて近い将来やり替えになるリスクについて考えました。その結果、全ての歯を抜いてベストな位置に歯列を並べてしまうほうが、生涯、歯にかかる出費は抑えられるであろうと判断しています。

下の歯が著しく前に生えていた。多くの歯が短期間に失われた大きな要因である。

インプラントのブリッジにはいろいろな種類がありますが、年齢が若く、これから長期間の使用が想定されること、そのほかのさまざまな利点欠点を考慮し、今回は強化セラミック(ジルコニアセラミック)でねじ止めのインプラントを選択しました。
万一インプラントが1本ダメになることがあったとしても、残りのインプラントで咬めるように工夫しています。また早期の咀嚼回復のために手術と同時に咬むことができるようにインプラントを入れました。

治療期間は、最終のセラミックが入るまで10ヶ月でした。仮歯でのリハビリ期間に2ヶ月の中断期間がありましたので、実際にかかった期間は8ヶ月になります。
治療開始の手術当日から強化プラスチックのブリッジが入り、食事ができる、笑える、と喜んで頂きました。

噛む能力については、治療の前後でグミを30回噛む咀嚼能力判定テストを行いました。治療前に10段階のうち1だったところ、治療後は8に向上しています。

治療には予算も重要になります。この方も奥様を交えて当院の治療コーディネーターと話し合いを重ねました。さまざまな選択肢の中から実現可能な方法をじっくり模索した上で治療を決断されました。

■治療期間と費用
・治療期間10ヶ月(実質8ヶ月)
・総インプラントの標準的な費用は片顎180万円(税別)~。
 お口やあごの骨の状態に合わせて適切な治療をご提案します。

■リスクと副作用
インプラントも日常の清掃やメインテナンスを怠ると、天然歯の歯周炎のようにインプラント周囲炎が起こります。

「つぶ貝が食べられる!」
北海道のお寿司屋さんでつぶ貝を食べるのが大好きなMさん。
治療を終えて、このように喜びをかみしめていらっしゃいます。

Mさんは3~4年前に入れ歯を装着してから食生活が変わりました。
上の奥歯が部分入れ歯で、次々に歯が揺れては抜けてくる事態を繰り返していたのです。
大好きなつぶ貝も硬くて食べることができなくなっていました。
初めてお見掛けした時、次は前歯が壊れそうなことが容易に予測できました。

奥歯の支えが少なく、上の前歯がグラグラになり、前に出てきてしまいました。
今は透明の接着材料で止めています。
上の前歯2本はぐらぐらになって骨に植わっていません

奥歯でしっかりとアゴの力を支えないと、前歯は壊れます。
歯には1本1本に意味があり、少しくらい無くなっても大丈夫という歯はほとんどありません。
ですから次に前歯が壊れないように、しっかりとした奥歯を作る必要があります。
一般的な部分入れ歯を作るだけでは、前歯を守ることはできません。

米国の専門書。上アゴは広い面積を金属で覆うことが推奨されています

治療前 前歯が前に飛び出してきている 保険の入れ歯は留め金が目立ちがち

そこで治療の選択肢としては
・ドイツ式入れ歯であるコーヌステレスコープブリッジ
・2本だけインプラントを利用した部分入れ歯
・奥歯は全てインプラント
この3つとなりますが、
Mさんと相談の上、今回は「奥歯は全てインプラント」に決まりました。
すきっ歯になった前歯は、残せない歯を抜いて被せもので対応することにしました。

模型診断
治療前 適切な咬み合わせをデザインしました
左は治療前。前歯だけにとても大きな力が集中することがわかるでしょうか。
右は治療後のイメージ模型。奥歯によって前歯が守られるようになりました。

Mさんは当初、インプラントはしたくないと思っていました。
理由は、口の中がデリケートで少し触られるだけでもすぐに口内炎になり、痛いのは嫌だと思っていたからです。
静脈麻酔をご提案したところ、「それなら」ということで静脈麻酔でうたた寝の間にインプラント手術を行いました。手術中も手術後も、痛みや苦痛など一切なかったそうです。
「静脈麻酔がなければインプラントはしていなかった」とおっしゃっています。

入れ歯とインプラントとでは装着感は全く異なります。
部分入れ歯は装着感が悪く、ものが詰まる上に、金具が嫌だったそうです。
夜は外して洗面に置いて、朝起きてから装着する生活を繰り返していました。入れ歯のつけ外しはどうも煩わしいと感じていたようです。
最後の方は入れ歯を入れるときに痛みもありました。
治療を終えて、このような煩わしさや、歯から息が漏れて発音しにくかった「さ・し・す・せ・そ」も非常によくなり、発音で困ることがなくなりました。

治療内容
1.まず入れ歯をお使いの状態で、インプラントを左右に6本埋入しました。
契約もお支払いも4本ですが、契約後や手術中にインプラントを増やすことは良くあります。治療後の成績にかかわると判断すればそうします。ですが追加の費用は頂きません。
インプラントが骨とくっつくまでの期間は12週間になります。
この間はお手持ちの入れ歯で生活して頂きました。

2.インプラントがくっつくまでの間に前歯の残せない歯を抜いています。
前歯はブリッジにする予定です。

3.インプラントが骨にくっついた日に、上の歯を全てリハビリの仮歯に変えました。ぐらぐらの前歯は抜いています。
リハビリの仮歯は2回作っています。
リハビリの仮歯は装着感も見た目も良かったのでMさんはこれで十分だと思っていただけました。
仮の歯で硬いものは食べないように制限してもらっていたのですが、私が知らないところで硬い鶏肉などを食べていたそうです(笑)。

4.仮歯でのリハビリが終わり、咬み合わせが定まったところでプラスチックの仮歯をセラミックの歯に交換し治療は終わりです。

当院ではインプラントやセラミックの治療は全て永井歯科の技工士がデザインから仮歯の製作、セラミックの製作までを一貫してお作りしています。

インプラントが入り、 リハビリ期間中の仮歯の様子
治療後 丈夫なセラミックで仕上げました。自然で素敵に見えて、作り物の歯だと気づかれないことを意識してお作りしています。
セラミックは永井歯科の歯科技工士がドイツ製のデザインソフト上でデザインし、
院内で製作しています
治療後 上の歯列は、下あごからの強い力を十分に受けとめられるようになりました。
上:治療前 下:治療後
治療後は出っ歯ではなくなり 入れ歯の針金はなくなりました 
上の奥歯にインプラントが入りました。もう前歯はグラグラにはなりません。なぜなら奥歯のインプラントが下アゴからの強い力をしっかりと受け止めているからです。

■治療期間と費用
・治療期間:11ヶ月
・費用や治療法はインプラントのページを参照ください

■リスクと副作用

インプラントも日常の清掃やメインテナンスを怠ると、天然歯の歯周炎のようにインプラント周囲炎が起こります。お手入れや生活習慣、骨質や咬み合わせによって長期予後は変わります。全身疾患や状況によってはインプラント治療ができない場合があります

どんどん歯が抜けてしまった患者さんのお話です。3年の間に歯がどんどん抜けていき、部分入れ歯が大きくなっているのがわかります。

来院時
入れ歯を使って3年
上の奥歯と下の前歯がぐらぐらになって抜けてきました

ご本人は、「ちょっとずつ抜けていっているから、あと2年はもつと思います」とおっしゃっていましたが、お話しているうちに、いまのうち根本的に治療したいということになり、上の歯は当時力を入れていたAGCブリッジ、下はズレない入れ歯で、入歯がズレるのを防ぐために天然の歯3本にスナップをつけて、左にインプラント1本だけ入れることにしました。

なぜ歯がどんどん抜けてしまったのか? 原因は噛み合わせと歯周病だと考えられました。

歯医者さんは大抵、部分入れ歯を「歯がないところ」に入れます。
しかしそれが噛み合わせを悪くする原因になるのです。私も昔はそれが分かっていませんでした。

本来、噛み合わせというのは、上下の噛み合わさる部分が浅いほうがバランスがよいです。上下2ミリくらいの浅さが、横に激突されない、いい深さです。
噛み合わせが深いと、あごが横に動いたとき上下が逃げない、奥歯が離れない、本来あるべきルールから外れた噛み合わせになってしまいます。
しかし、とくに保険診療の入れ歯では、噛み合わせが深いところに、そのまま入れ歯をこの深さで入れてしまうケースが多いです。部分入れ歯を高くして、咬み合わさる部分を浅くしようとすると、全体に咬み合わせは高くなっているので残っている歯は噛み合わさりません。健康保険の治療において、咬み合わせを作るために削って被せを作ることはルール上できません。健康保険で被せものを作れるのは大きく分けて2つの条件だけです。一つは虫歯の歯の形の回復のために被せものをする。そしてもう一つは歯がなくなったところにブリッジをする。ですから健康保険では、全体の咬み合わせをなかなか考慮できず、単純に歯がないところに入れ歯を入れてしまうケースが多いのです。

一つ一つの歯の長さがまちまちで、内に入ったり外に出たり不揃い

結果、上下の咬み合わせとしては、どこかの歯にあたりやすい、避けようと思ってもぶつかってしまう噛み合わせができあがります。一か所に集中して力がかかり続け、その歯はボディーブローのようにダメージを受けてグラグラになっていく。そして歯が抜けて、抜けたところに歯を入れようとまた入れ歯を作り直し、終わりのない治療が続くことになります。

噛み合わせを改善しないまま、歯が抜けたらそこに入れ歯を足す、ということを当たり前に続けていくと、歯はどんどん失われてゆきます。多くの方は、どんどん抜けていくことを不安に感じ、食い止めたいと思っていると思います。
「最後の治療」がしたいと言って相談に来る患者さんも多いです。

最後の治療は、できれば70歳くらいまでにしておくのが理想です。噛み合わせを改善しないまま、歯が抜けたら入れ歯を作り直す、ということを続けていくと、いつまでも治療が続くことになります。最後までその咬み合わせでいくと、いずれ高齢になって通院できないようになります。
そのときに咬み合わせで悩まず、ちゃんと仕上がった咬み合わせをキープする。そのために必要なのが根本的な治療です。

入れ歯で大事なのは、「歯がないところに歯を入れる」ことよりも、正しい咬み合わせを作ることです。この方の治療では、理想の咬み合わせを徹底して追及しました。

治療前:入歯を装着したところ

この方は、向かって真ん中右隣の歯が伸びてきていました。上下の歯の咬み合わせが深く、あごが横に動いたときに上下が逃げない、奥歯が離れない咬み合わせになっていました。そうした点を改善し、お口全体の噛み合わせを整えました。
上顎のインプラントは本数が6本以上で強度が出るのでブリッジの形でしっかり力を受け止める設計にしました。一方、下の歯は入れ歯の形にしました。インプラントと天然の歯の本数から考えて下には強い力がかからないようにしました。天然と入れ歯に、またインプラントと入歯の間には重心を下げた低い位置にスナップを、入れ歯がズレないようにしています。重心が低いと歯にかかる横向きの力が少なくなり、歯とインプラントと入れ歯が長持ちしやすいように工夫しています。

治療終了後。
上の外せるブリッジと下の外せる入れ歯

また上の入歯は今回、歯科医師でなくても外すことができる「外せるブリッジ」にしています。将来介護生活になった際に、介助者の方でも容易に外して掃除ができるような工夫を施した治療を行いました。

将来介助者でも外すことができる外せるブリッジ

70代のうちに根本的に噛み合わせから改善でき、しっかり食べられるようになり、グミによる咀嚼能力測定では、10段階で6まで咬めるようになりました。

治療後3年
治療後3年

咬み合わせ以外にもう1つ、歯が抜ける原因となっていた歯周病も、インプラントを入れる前のタイミングでしっかり除菌しました。咬み合わせと歯周病を改善し、残りの歯を守る治療ができました。

■治療期間と費用
・治療期間1年
・費用や治療法は、はずせるブリッジズレない入れ歯の各ページをご参照ください

■リスクと副作用

インプラントも日常の清掃やメインテナンスを怠ると、天然歯の歯周炎のようにインプラント周囲炎が起こります。お手入れや生活習慣によって長期予後は左右されます。骨や咬み合わせといった局所や全身の状況によって成功率と長期予後は変わります。

ずっと歯医者に通っているのに、どんどん歯が悪っていく…というご相談を受けることがあります。一箇所を治しても、また別の歯が悪くなったり、抜けたりして、年々お口の中の状態が悪くなってしまうのです。
そうならないためには、悪くなった箇所を場当たり的に治療するのではなく、お口全体を見て治療することが大事になります。

とくに多いのが、噛み合わせを考えずに治療した結果、別の歯が痛んでしまうケースです。私の治療ではありませんが、後輩歯科医師から相談されたケースをご紹介します。

「グラグラの歯があるので、その歯を抜いてインプラントを入れてもらえないですか?」というのが相談の内容でした。
私は、まず歯がグラグラになった原因を確認すべきだと答えました。歯が悪くなったからインプラントを入れる、という単純は話では解決しないことが多いからです。

この患者さんは、数年の間に何本もの歯が悪くなってしまっていました。歯周病でグラグラになって歯が抜けたり、歯の根っこが折れてしまったり、根分岐部病変(こんぶんきびょうへん)といって根っこの周りの骨が吸収されてなくなっている部分もありました。

何が原因なのか。
実はある治療が発端となって、そこから連鎖的に歯が悪くなっていることがわかりました。

話を聞くと、数年前にその後輩歯科医師がその患者さんの左上の歯にブリッジを入れているとのことでした。ブリッジにしたのは左上3~5番の歯、糸切り歯とその奥2本の歯でした。お口の中の写真とレントゲンから、すぐにそのブリッジの咬み合わせに問題があったと分かりました。
正しい噛み合わせでは、上下の糸切り歯同士がガイドになり、ほかの歯に不要な力が掛からないようになっています。しかしこの方は、糸切り歯同士があたらない咬み合わせになっていました。
つまり、左上の歯をブリッジにした際にガイドが変わってしまったことが、ほかの歯が悪くなった原因だったのです。本来なら、左上にブリッジを入れる際、上下の糸切り歯同士があたって奥歯が離れるような噛み合わせにするべきところです。しかしながらそれができておらず、奥歯ばかりに過大な力がかかり歯周病が局所的に進行してしまっているようでした。

お口全体の咬み合わせを深く考えずに詰めたり、被せたりしていると、このようなことは起こりやすいです。

このような不具合は、とくに保険診療において起こりやすいと私は感じています。

理由を3つ挙げますが、全て単価の低さに影響されています。

1つ目の理由は、製作される咬合器にあります。単価が低いためしっかりした精度の高い大きな咬合器が使えないことです。安価で小さな咬合器や、簡単なバネ式の咬合器を使ったり、あるいは咬合器を使わずに製作されることがあるため、咬み合わせがシビアに再現されれにくい一面があります。

2つ目の理由は、技工物(入れ歯、詰物、被せ物など)にあります。

保険診療では、単価が低いため、効率重視で短時間で大量に作られがちです。大きな技工所では組み立て工場のように、10人くらいの技工士が横に並んで右から左に自分の工程だけを終えたら技工物を次から次に隣の技工士に受け渡して行きます。材料も銀歯やプラスチックなど健康保険に適用されているものだけに限定されます。一方自由診療では、単価が適性なため効率重視で大量生産する必要はありません。一人の技工士がドイツのマイスターのように初めから最後まで1人の患者さんの技工物の製作に携わります。材料も限定されることはありません。世界中の一番良いと思う材料を使い、一番良いと思う方法で作るだけなので考え方がシンプルです。歯や歯列は一人一人、一本一本同じものはありません。歯は、全く同じものを大量に作る工業製品とは異なります。モノの費用は安いに越したことはありません。しかし安全や信頼、耐久性を求められるものを作るには適正な費用があって然りです。歯科技工はコストを抑えた大量生産には向いていません。

3つ目の理由は、「正しい咬み合わせの知識と技術水準」です。正しい咬み合わせの知識と、咬み合わせを作る技術水準は非常に重要です。しかし、私も歯科医になって数年間は、正しい咬み合わせの知識を持っておらず、そのため治療がやり直しになったこともありました。咬み合わせの知識と技術水準は大学教育だけでは習得できません。咬み合わせは、海外でも日本においても、大学卒業後に専門的な教育を受けることやスタディーグループで学んだり、トップが正しい咬み合せの知識を持ち実践している環境に身を置くことで身につきます。身につけても技工物が健康保険だと、2つ目の理由から技量をなかなか発揮し難い面があります。また健康保険の治療ばかりに携わっていると、技工を含めて医院全体のレベルが健康保険の治療が基準になってしまうので、せっかく自由診療をしても材質が違うだけで精度も咬み合わせも健康保険レベルになりがちです。

後輩には、まず左上のブリッジをきちんと作り直してお口全体の咬み合わせをつくること。また、歯周病治療を行い、歯ぐきの状態を改善してからインプラント治療を考えることをアドバイスしました。

歯医者に通っているのに、歯がどんどんボロボロになっていく…。そんなことがないよう、お口全体をしっかり見て治すことが大切だと改めて感じた一件でした。

「部分入れ歯が噛みにくい、磨きにくい、口の中がどうも調子が悪い」というご相談は多いです。こうなってしまう原因は、咬み合わせのバランスと、お口の掃除のしづらさにあると考えています。

ある70代の女性は、留め金式の部分入れ歯を使っていて、入れ歯の留め金を引っ掛けていた歯の歯茎が歯周病と虫歯になっていました。あちこちの歯が弱っていて、残せそうな歯は4~5本しかない状態で、歯磨きもしづらくなっている様子でした。「とにかく何とかしてほしい、しっかり噛みたい」というご希望がありました。

多くの歯が弱っていて、残せない状態でした。
丈夫な歯5本を残しました。

歯が数本残った場合、留め金式の入れ歯をすることが一般的です。留め金式の入れ歯を使うと歯が一本づつグラグラしてきて次々に抜けてくる。また残った歯を支点にして入れ歯が沈むのでいまいち嚙めない。このような経験でお困りの方は思いのほか多いです。

インプラントはしたくないとのご希望でしたので、残せる歯は残しながら、掃除もしやすく、全体でしっかり噛めるようにする方法を考えました。採用したのは、下には自由診療のドイツ式入れ歯、上には自由診療の総入れ歯を入れ、金属床で補強しました。

ドイツ式入れ歯では、残っている少ない歯を、その歯に負担を掛けることなく活用できます。2~3本でも自分の歯が残っていると、その歯を支えとして、入れ歯の横揺れを防止できるのです。動きが少なく安定感が増すので、通常の入れ歯よりも噛み心地が格段にアップします。留め金式の入れ歯のように、歯に負担をかけることもないので、次々に歯が抜けてくることもありません。

この方は、初めに今の義歯を改造し治療の間の入れ歯としました。その次に残っていた歯を生かしながら新義歯を作り初め、約1年ですべての治療を終え、今も当院にメンテナンスで来院し、なんでも噛んで食事を楽しんでいます。

私はいつも治療を始めるにあたって、まず「いまこの状態になっている原因は何か」を重点的に考えます。年齢的に掃除がしにくくなっている様子であり、銀歯やほかの金属の歯があり、歯も磨きにくく粘膜が腫れていました。そこで金属は金合金の一種類だけにまとめ、掃除し易いシンプルな設計を心がけました。また、歯周病菌の悪玉菌も基準値以上検出されたので、歯種病治療を行い悪玉菌を減らしてゆきました。

ドイツ式入れ歯はごくシンプルな構造ですが、咬み合わせだけは徹底的にこだることが、良い咬み心地につながります。

入れ歯の完成時、きれいな歯が装着されてお帰り頂きました。
ところがその翌日、入れ歯がすごく痛いと連絡があり、すぐにお口の中をみました。その日は応急処置でなんとか対応しまいたが、結局私の製作時に採取した咬み合わせが、使いやすい咬み合わせとは異なることが分かりました。
この咬み合わせのリカバーをどうするか散々悩みました。結局上の入れ歯を作り直すことが、入歯の質、患者さんへの負担の点において良いと考え、作り変えました。

作り直すと、その日からしっかり噛めるようになられました。
作り直しは決して良いことでありません。しかし人が行う上で作り直しはゼロにはなりません。大事なのは問題が起こった時に、その原因を適切見極め、きちんとリカバーし、次の治療につなげることだと思っています。
入れ歯治療に限らず歯科治療は咬み合わせに始まり咬み合わせに終わるといっても過言ではありません。改めて、咬み合せの大切さを痛感したケースとなりました。

出来上がった上の総入れ歯、下のドイツ式入歯
入れ歯を装着した様子。上は総義歯、下はドイツ式入れ歯。
金の内冠がちょうど茶筒の役目をし互いの歯を守りながら、入れ歯のズレを防ぎます。

■治療期間と費用
・治療期間:1年
・費用や治療法はドイツ式入れ歯のページを参照ください

■リスクと副作用 
残せない歯の抜歯は外科処置です。一般的な外科処置の偶発症が起こる可能性があります。留め金式の入れ歯よりも全体でしっかり噛める入れ歯ですが、異物感を極度に感じる方は入れ歯治療を受け入れられない場合があります。

歯を失ってしまったときの選択肢には、入れ歯、ブリッジ、インプラントがあります。噛み心地、強度などの点ではインプラントがもっとも天然の歯に近いと言われていますが、ケースによって入れ歯をご提案することもあります。

ある60代の女性は、奥歯が3本ない状態で当院に相談に見えました。
残っている歯は多いものの、歯並びがでこぼこしていて、「うまく噛めない」とお悩みでした。歯がないのは片側だけだったので、最初はシンプルにインプラントを入れようと考えました。

ただ、その方は骨粗しょう症とリウマチをお持ちでした。
どちらも骨の病気なので、念のため、インプラントを入れても大丈夫かどうか、主治医の先生に確認を取ることにしました。
確認したところ、先生からはOKが出たのですが、患者さんご自身が、手術をするには体力が心配ということでしたので、インプラントはやめて、ドイツ式入れ歯をご提案しました。

ドイツ式入れ歯は、つけたまま寝られますし、外れたり、ずれたりもしづらいので、インプラントができない方にとって最善の選択肢だと思います。

この方の場合、歯並びがでこぼこしていて、横を向いた歯が隣の歯にぶつかって、ボディブローのようにじわじわと痛めていたので、咬み合わせも徹底して調整しました。
もともと歯を失った原因である咬み合わせを治さないと、入れ歯を作ってもまた壊れてしまうことが多いからです。
歯がなくなっているのは奥歯だけでしたが、前歯の部分にも被せ物を作り、お口全体でしっかり噛めるようにしました。

一般的な部分入れ歯と比べて、ドイツ式入れ歯のいいところは、残っている歯を痛めないところです。前歯にもきれいな被せ物をしたので、見た目もよくなり、喜んでいただいています。

■治療期間と費用
・治療期間:10ヶ月
・費用や治療法はドイツ式入れ歯のページを参照ください