Case.08 家族と同じものが食べたい。人前で笑うことにも抵抗があった患者さん

  • インプラント
  • 咬み合わせ

40代男性の症例です。
来院時、入れ歯をお持ちでしたが、全く使えずにお過ごしでした。
食べたいものが食べられない。咬むことができないので食事に時間がかかる。家族と違うメニューを食べる。人と一緒に食事を楽しむことが出来ない。
また、お仕事では初対面の方と会う機会も多いそうですが、笑うのにはなかなか抵抗がある。
このような不満をお持ちでした。

来院時

当院に来ていただいたからには、なんとか食べれるようになってほしい、笑えるようになって欲しいと、私が思うだけでなく当院のスタッフからも声が上がっていました。
入れ歯そのものに対しての不満な点をいろいろとお伺いしました。
健康保険の入れ歯で満足に食事が出来ないとのことでしたので、治療方法としてはドイツ式入れ歯かインプラントかの2択になります。
まだ40代と若くて体力もあり、残りの人生をまだまだ長く楽しんで頂くための解決策として、今回は手術後すぐにインプラントを使ったブリッジの歯が入る方法を選択しました。

手術後に歯が入った時、ご家族は歯が入ったことに衝撃を受けられたそうです。
別人のような代り映えに、喜びから思わず「誰やー(笑)」と言われたということでした。

治療中に使っていたリハビリ用のブリッジ(仮歯)
初めの歯のデザインから完成まで 外注ではなく院内で製作

治療は全てが円滑に進んだわけではありません。とくに物凄い力で食いしばることに悩まされました。初めからわかっていれば良かったのですが、だからこそご自身の歯が失われてきたのだと改めてわかりました。
食いしばりのために、入れたインプラントが4本、骨にくっつきませんでした。そこですぐにその4本を抜いて改めて6本を入れ直し、咬む筋力を下げる注射を行い、リカバーしています。

治療前と治療後(右はセラミックの本歯)
治療前と治療後
ジルコニアセラミックで出来た歯
6本のインプラントで全ての歯を支える総インプラント

今回の治療では、下の残っている歯は8本全て抜く計画にしました。
下の歯が通常より前に生えていると、咬み合わせの関係で、奥歯と上の前歯は壊れてしまう傾向があります。この方はまさにそれに該当していました。であるからこそ40代と若くして、たくさんの歯が短期間に失われてきているのです。

治療では虫歯でもなんでもない歯を抜く提案をする局面があります。例えば今回のように、力(咬み合わせ)が原因であるとわかった時がそれです。
今後インプラントを長期間維持する理想の咬み合わせと、歯を残しておいて近い将来やり替えになるリスクについて考えました。その結果、全ての歯を抜いてベストな位置に歯列を並べてしまうほうが、生涯、歯にかかる出費は抑えられるであろうと判断しています。

下の歯が著しく前に生えていた。多くの歯が短期間に失われた大きな要因である。

インプラントのブリッジにはいろいろな種類がありますが、年齢が若く、これから長期間の使用が想定されること、そのほかのさまざまな利点欠点を考慮し、今回は強化セラミック(ジルコニアセラミック)でねじ止めのインプラントを選択しました。
万一インプラントが1本ダメになることがあったとしても、残りのインプラントで咬めるように工夫しています。また早期の咀嚼回復のために手術と同時に咬むことができるようにインプラントを入れました。

治療期間は、最終のセラミックが入るまで10か月でした。仮歯でのリハビリ期間に2か月の中断期間がありましたので、実際にかかった期間は8か月になります。
治療開始の手術当日から強化プラスチックのブリッジが入り、食事ができる、笑える、と喜んで頂きました。

噛む能力については、治療の前後でグミを30回噛む咀嚼能力判定テストを行いました。治療前に10段階のうち1だったところ、治療後は8に向上しています。

治療には予算も重要になります。この方も奥様を交えて当院の治療コーディネーターと話し合いを重ねました。さまざまな選択肢の中から実現可能な方法をじっくり模索した上で治療を決断されました。

■治療期間と費用
・治療期間10か月(実質8か月)
・総インプラントの標準的な費用は片顎180万円(税別)~。
 お口やあごの骨の状態に合わせて適切な治療をご提案します。

■リスクと副作用
インプラントも日常の清掃やメインテナンスを怠ると、天然歯の歯周炎のようにインプラント周囲炎が起こります。