前歯のインプラント治療はなぜ難しい?

2018年02月5日 (月)
インプラント治療を検討している人の大半は、「費用」について気にされているのではないかと思います。インプラントには高額な費用がかかるため、十分に考えなければいけません。しかし、考えるにしても費用面やリスクなど、様々な要因を考慮する必要があります。
その中でも、あまり歯医者から説明ないのが「前歯のインプラントは治療がしにくい」ということです。インプラントには、奥歯のインプラントと前歯のインプラントの2ヵ所があります。今回は、奥歯のインプラントよりも前歯のインプラントが治療しにくい原因と、費用面での比較、そして前歯のインプラントの特徴についてご紹介していきます。

インプラント治療について

インプラント治療について

インプラント治療は、まだ歯科業界では歴史が浅い治療法です。約60年前から始まった治療法で、日本に導入されてからはまだ30年ほどしか経っていません。インプラント治療行うには、インプラントの治療に精通している歯医者を選ぶべきであり、あまり精通していない歯医者ではトラブルを招く恐れがあります。
それでは、最初にインプラント治療について説明をしていきます。

■インプラントの治療順序

1. 口の中を診察
最初に、患者さんの口の中を診察します。噛み合わせやインプラントを埋めるスペースがあるかどうか、そしてどの歯がなくて何本埋める必要があるのかを判断します。ここでの診断や判断が間違ってしまうと、この先全てに影響を及ぼすので慎重に行います。

2. 術前に検査や問診
術前に、患者さんの持病や今まででかかったことのある病気を聞きます。持病を聞いておかなければ、外科手術中の体調変化に対応できません。また、飲み薬を把握しておけば、投薬する際にも正しく投薬指示が行えます。

3. 歯科用CTやレントゲンで撮影
CTは3次元的に診断することができ、レントゲンは歯の本数や虫歯の有無を診断することができます。つまり、インプラントを埋める際に何本埋めれば良いのか、埋めることができるのかなどを判断する材料になるということです。

4. シミュレーション
最近の機器では、CT画像を参考にインプラントの埋める方向をシュミレーションできます。事前にシュミレーションしておくことで、患者さんにもイメージを掴みやすく、また神経や血管を避けることもできます。

5. 外科手術
当日は局所麻酔で外科手術を行います。口を開けている時間が長いので、大変かもしれません。

6. 型取り
インプラントの頭に被せる物を作るために型取りを行います。

7. 被せ物完成
被せ物が完成したら、実際に被せていきます。

8. リコール
インプラントは「手術をして終わり」という治療ではありません。インプラントを長く使い続けるためにも、掃除がしっかりと出来ているかチェックしなければなりません。定期検診のことを「リコール」といい、インプラント患者さんには3か月に一回など定期的に通ってもらいます。

また、インプラント治療にはトラブルもつきものです。

■インプラント治療のトラブル

●唇の麻痺
顎の中を走っている神経をインプラントで傷つけてしまうと、唇が麻痺してしまいます。

●大量出血
血管を傷つけると大量出血をする恐れがあります。実際にインプラント手術中の出血が原因で患者さんがなくなる事例がありました。

●上顎洞への貫通
奥歯にインプラントを埋める際は気をつけなければいけません。
歯科用CTやレントゲン撮影を行えば、医療ミスやトラブルが起きるリスクを大幅に減少できます。

奥歯と比べた前歯のインプラント

奥歯と比較した場合、前歯のインプラントはどのような点が難しく感じるのでしょうか。

■前歯の骨は薄い
奥歯に比べて前歯の顎の骨は薄いです。ただでさえ薄い前歯の顎の骨にインプラントを埋めると、さらに骨が薄くなる可能性もあるのです。

■歯茎も痩せやすい
骨が薄くなると、同時に歯茎も痩せていく傾向にあります。骨の高さが低くなると、上に乗っている歯茎も一緒に下へ落ちることが原因です。

前歯のインプラントの治療費

前歯のインプラントの治療費

奥歯のインプラントは、しっかりと噛むためにも必要であると理解できますが、なぜ前歯のインプラントの方が高いのでしょうか。それには以下の理由があります。

■骨を増やす必要
あらかじめ骨を増やしておくと、インプラントをしても骨が薄くなる心配がありません。骨を増やす方法としては、骨移植か骨を作る薬剤を入れるかのどちらかです。
骨を移植する場合は、自分の骨か安全な人工骨を利用します。最近では、患者さんの高齢化が進んできているため、患者さんから骨を採取する方法よりも、人工骨を代用する方法が多くなっているのです。

■歯茎も移植する必要
歯茎も骨と一緒に痩せやすいため移植します。歯茎の移植は、患者さんの口の粘膜の一部から採取したものを利用することが多いです。
これらの処置を行うだけでも費用はかさみます。また、骨が移植先で安定するまでの間、人工骨が骨と馴染むまでの間の約6か月は治療できず、経過観察をしなければなりません。
緊急でインプラントを埋めることはできませんが、こういった処置を行えば、人目につきやすい前歯でも綺麗で自然なインプラントを入れることができるのです。
急がば回れのことわざ通り、多少は寄り道をするとしても、良い治療を受けてみてはいかがでしょうか。